KIZUNA 2026 / 08 / 26
U-30界隈 写真のホンネ

episode.07

【モノと思い出編】写真は思い出の詰まったモノの代わりになりますか?

世間は「Z世代のSNS利用」「若者の平成ブーム」といった情報で溢れていますが、実際の20代はSNS離れが加速していたり、平成ブームが一部で賑わっていたりと、一般認識とは異なるかもしれません。そんな20代の実像に迫る本連載は、「20代のホンネ」を知り、理解を深めることを目的として企画されました。

思い出を残す方法といえば、まず「写真」を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、手になじんだお財布や旅先で買ったお土産、映画の半券など、写真とは別に「実物だから残しておきたい」と感じるモノもあります。
写真と実物は、それぞれ思い出の何を残しているのでしょうか?今回は、U-30の3人に、それぞれが大切にしているモノを持ち寄ってもらいました。モノに残る思い出と、写真に残る思い出。3人のエピソードから、その違いが見えてきました。

PROFILE

山口 涼さん(人物画像)

山口 涼 さん

SUZU YAMAGUCHI

キタムラ CX統括本部マーケティング部

少しでも思い出がでもあるモノは捨てられないタイプ。モノが増えてきたため部屋が荒ないよう、"増やさない"ことを心がけている。

内田 慧さん(人物画像)

内田 慧 さん

KEI UCHIDA

カメラのキタムラ 新宿 北村写真機店

一期一会を大切にし、欲しいと思ったものはすぐに買うが、モノはなかなか捨てられない。最近は断捨離意識を高め、大量の漫画をフリマアプリで売却中。

河野 華子さん(人物画像)

河野 華子 さん

HANAKO KAWANO

フォトクリエイト 営業部

まめに思い出の品を保管しておくタイプ。美術館のチケットからステッカーまで、ファイルにまとめて保管している。

まず、みなさんが大切に残しているモノや思い出深いモノを教えてください。

山口:私は、小学生のときにおばあちゃんが作ってくれたポーチと高校入学のときに母に買ってもらった財布、高校や大学時代のディズニーの紙チケットを持ってきました。ポーチは祖母から、財布は母からもらったものですごく嬉しく、特に財布は、初めてブランドの革財布を持てたのが本当にうれしくて、大学でも使っていました。私は高知県出身なのですが、高校時代は合唱部の大会で東京に来たときにしかディズニーに行けなかったので、ディズニーのチケットの日付を見て「これはあの大会のときだ!」と思い出したりします。

内田:僕は大学時代に、ミネソタ州に行ったときに買ったマグカップを持ってきました。ずっとアメリカに行きたいと思っていたので、実現したときの思い出として買いました。今もコーヒーを飲むときに使っていて、使うたびに「また行きたいな」と思います。あとは、小中学生くらいからもらった手紙を入れている缶ももってきました。部活の後輩や同期からの手紙、年賀状などが入っていて、これはなかなか捨てられないですね。

河野:私は美術館のチケットやポストカード、フライヤーなどを保管しているファイルを持ってきました。大学の後半くらいから、ファイルに入れて残すようになりました。チケットやフライヤーを見ると、展示の内容だけじゃなくて、その日どこに行ったか、誰と行ったかまで思いだしますね。

実物を見るとことが思い出すきっかけになるんですね。写真も同じように残す、思い出すきっかけになるものですが、写真には残したりしていますか?

河野:私が持ってきたものでいうと、単体というより、美術館の入口やポスターの前でチケットと一緒に記念写真を撮ることはあります。でも、混んでいたらそのまま中に入っちゃいますね。チケットはちゃんと残しているけど、そのときの写真も必ず残している、というわけではないです。

内田:僕は結構、何でも撮ります。誕生日にもらったものも、会社でもらったお土産のお菓子なんかも(笑)。誰かに送るためじゃなくて、自分の記録用です。「このとき、これもらったな」と後から見返せるので。でも、持ってきた手紙やマグカップの写真はないですね。

山口:私は逆に、モノ単体を記録として撮ることはあまりないですね。もらってうれしくて撮ることはあっても、「このモノを残しておこう」と思って撮る習慣はなくて。使っているときの写真ならあるかもしれない、という感じです。

「大切なモノ=写真にも残している」とは限らないのですね。では、手放したあとに「撮っておけばよかった」と思ったことはありますか?

山口:あります。この前、モノがあまりにも増えてしまったので断捨離した際に、泣く泣く父に高校生のとき買ってもらったTシャツを捨てたんです。もうボロボロで、ずっと着ていなかったので「一生着ないな」と思って。でも捨てたあとに、写真を撮っていなかったことに気づきました。それを着ている自分の写真もほとんどなくて、どういう形で残しておけばよかったんだろうと後悔しました。

河野:私も、フランス旅行で買ったヴィンテージのTシャツがあります。「本場でいいものを買えた」と気に入っていたんですけど、よくよくみたら虫食いや劣化で着られなくなって、最終的に手放しました。どのように手放したのかもあまり明瞭に覚えていないですが、そのときは写真を撮っておけばよかったなと思いましたね。

ずっと持っているつもりでも、劣化したり、いつか手放したりすることはありますよね。一方で、写真ではなく実物を残すよさについて感じることもありますか?

内田:あると思います。ミネソタのマグカップは、今も実際に使っています。写真を見るのとは少し違って、コーヒーを飲むたびに旅行を思い出すんですよね。「使う」ということ自体が思い出につながっている気がします。たぶん、買ったときにエピソードがあるモノは、同じものをあとから買っても違うと思います。

山口:分かります。私も財布がボロボロになったとき、母に「新しいものを買ってあげる」と言われたんですけど、一度断りました。「これで十分」じゃなくて、「これが好きだから使っている」という感覚でした。それくらい、買ってもらったときのうれしさも一緒に残っていたのだと思います。

河野:私はチケットを見ると、展示だけじゃなくて、その日のことまで思い出します。実物が、記憶を引き出すスイッチみたいになっているのかもしれないですね。

では、大切なモノの写真がきれいに残っていたら、実物を手放せると思いますか? それとも、写真があっても実物は残したいですか?

河野:保管が大変でなければ、実物は残したいと思います!これからも紙類(チケットやフライヤー、プリント写真など)は、丁寧に保管して、見返したときの楽しみをつくっていきたいです

山口:写真も実物も残したいです!写真だときれいに残せますし、気軽に振り返ることができると思います。実物には手に取ったときの感触とか、その時の記憶が宿っている感じがしますし、どちらの良さもあるので、できればどちらも残しておきたいと思いました。

内田:モノによりますが、本当は使わないのに情で残しているものなどは、手放せると思いました!確かに、ずーーっと使わないならフリマアプリなどで手放し、本当に必要な方にお渡しするのがいいと思っております。

写真だけで十分なモノもあれば、実物を持っていたいモノもありそうですね。今回話してみて、これから「モノの残し方」を変えてみたいと思ったことはありますか?

山口:河野さんのチケット保管を見て、紙のものもちゃんと整理して残しておきたいと思いました。加えて、今はきれいに保管できても、紙の印字などは何十年後には消えているかもしれないので、今のうちに並べて撮ったり、写真集みたいに残したりするのも素敵だなと思いました。

内田:僕も、思い出のあるモノはちゃんと写真に撮っておこうと思いました。今まで結構何でも撮ってきましたけど、「これは思い出のあるモノだから撮っておこう」という意識はあまりなかったので、大事なものを残しておく意識があってもいいなと思います。

河野:私は実物の保管は結構している方ですけど、残し方はもっと工夫できたなと思いました。例えば映画のチケットなら、チケットだけじゃなくて、映画館のポスターなどと一緒に撮っておけば、そのときのデザインや雰囲気まで残せますよね。モノだけでなく、その周りの風景も一緒に写真に残すという方法もあるなと思いました。

3人の話から見えてきたのは、写真と実物は、同じ思い出を同じように残しているわけではないということでした。

実物には、使った感覚や、誰からもらったか、どんな気持ちで手に入れたかといった記憶が重なっていきます。一方で、モノは劣化したり、いつか手元からなくなったりすることもあります。

そんなとき写真は、実物をそのまま置き換えるものというより、実物がなくなったあとにも、そこにあった思い出へ戻るための手がかりになるのかもしれません。

では、実際にそのモノを手放すとき。「捨てる」「売る」「譲る」では、気持ちはどう変わるのでしょうか。

後編では、思い出のあるモノの手放し方とリユースについて、3人の本音をうかがいます。

「次回は【U-30界隈 写真のホンネ】モノと思い出編 後編」です。お楽しみに!

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