前編では、思い出を残すうえで、写真と実物にはそれぞれ違った役割があることが見えてきました。では、その実物をいつか手放すことになったら、どうするのでしょうか。
捨てる、売る、誰かに譲る。選択肢はいくつもありますが、思い出のあるモノとなると、単純に「もう使わないから」とは決めきれないこともあります。後編では、U-30の3人に、思い出のあるモノを手放すときに何を考えるのか、手放し方によって気持ちはどう変わるのか、率直な想いをうかがいました。
PROFILE
山口 涼 さん
SUZU YAMAGUCHI
キタムラ CX統括本部マーケティング部
少しでも思い出がでもあるモノは捨てられないタイプ。モノが増えてきたため部屋が荒ないよう、"増やさない"ことを心がけている。
内田 慧 さん
KEI UCHIDA
新宿 北村写真機店 広報担当
一期一会を大切にし、欲しいと思ったものはすぐに買うが、モノはなかなか捨てられない。最近は断捨離意識を高め、大量の漫画をフリマアプリで売却中。
河野 華子 さん
HANAKO KAWANO
フォトクリエイト 営業部
まめに思い出の品を保管しておくタイプ。美術館のチケットからステッカーまで、ファイルにまとめて保管している。
使わなくなっても、なかなか捨てられないモノはありますか?
山口:私は基本的にモノを捨てられないタイプです。部活でもらった手紙や写真を貼ったコルクボードも処分できなくて、今も実家に置いてあります。モノを捨てるときは、本当に「ごめんなさい」っていう気持ちになります。ゴミ袋に入れて、ほかのゴミと一緒になってしまうと思うと、かわいそうに感じてしまって。だから、モノを増やさないことを意識しています。最近流行っているガチャガチャなんかも、捨てられないと分かっているのでやめました(笑)
内田:僕も本当に捨てられないです。でも、山口さんと違って買うのはあまりためらいません(笑)。気に入った漫画は単行本とKindleの両方で買っていましたが、本棚がどんどんいっぱいになってしまったので、最近は冊子の方をメルカリで売り始めました。売るのと違い、捨てることに抵抗があるのは「もう一生なくなっちゃう」という感覚があるからかもしれないですね。
河野:私は割とスパッと手放せる方だと思います。ただ、何でも平気というわけではなくて、自分で選んで買ったモノは納得して整理できるんですけど、人からもらったモノは捨てづらいです。中学生のときに憧れていた先輩からもらった部活のモノも、今は使っていないけどまだ残しています。
捨てるのは難しくても、「売る」「譲る」という形で手放したモノはありますか?
河野:私は大学まで空手をやっていたのですが、社会人になってから使わなくなった道着を後輩に譲りました。道着って2、3万円くらいするので、「買うお金がない」という後輩に練習用として渡しました。ただ、今思うと、当時は写真や動画も恥ずかしくて断っていたので、自分が空手をやっていた証があまり残っていなく、「道着は残しておいてもよかったな」と思うことがあります。a
内田:大学生のときに買って、5〜6年着ていたお気に入りのTHE NORTH FACEヌプシジャケットを最近手放しました。かなり中綿が落ちてしまっていて、新しいものを買ったので、最初は捨てようと思ったのすが、長く使っていたから寂しさがあり、ふとメルカリに出してみたら3,000円くらいで売れました。「まだ使ってもらえる」と思うと、ちょっと嬉しかったですね。
山口:私は以前、アイドルのWEST.をすごく推していた時期があって、CDやうちわ、ペンライトなどを持っていました。だんだん推しから離れていきましたが、そのグッズはずっと捨てられなかったんです。思い出もあるので、なくなるのも嫌だし、最初は売りたくもなかったのですが、「今の私よりもっと熱量のある人に持っていてほしい」と思って、周りにWEST.を好きな人がいないか探しました。結局見つからなかったので、メルカリに出しましたが、ダイレクトにWEST.が好きな人に届いたと思うので、結果よかったかな。
お話を聞いていると、「次に使う人がいる」と分かることも、手放しやすさにつながっていそうですね。そこは大きいですか?
山口:私はかなり大きいです。WEST.のグッズも、普通に捨てたりするより、「今もWEST.が大好き」という人に渡したいと思っていました。今の自分より熱量のある人に、そのまま大切にしてもらえたらいいな、という気持ちがあります。
内田:僕も、欲しい人に渡したいという気持ちがあります。漫画なら、単行本を見ると「これ大学のときに読んだな」みたいに思い出すこともあるんです。だから、欲しいと思って買ってくれた人に「お願いします」という気持ちで送り出しています。
「誰かに使ってもらえればいい」だけでなく、そのモノが誰に渡るかまで気になりますか?
山口:私は気になります。まずは、自分の近くに使ってくれそうな人がいないか探します。洋服なら妹に「これ似合いそう」と思って渡すことが多いですし、楽器だったら、その楽器が好きな人や、これから始めたい人がいないか友達づてに探します。自分が納得して渡せる相手を探して、それでも見つからなかったらフリマアプリで出品ですね。手間はかかりますけど、私はモノへの愛着が強いのでそっちを選びます。
内田:僕も、欲しい人に届いてほしいという気持ちはあります。漫画なら、単行本を見ると「これ大学のときに読んだな」みたいに思い出すこともあるんです。だから、欲しいと思って買ってくれた人に「お願いします」という気持ちで送り出しています。
ここまで「手放す」ことについて聞いてきましたが、そもそもモノを買うときから、いつかリユースすることを考えたりしますか?
河野:私は考えます。今年、Barbour(バブアー)のジャケットを買ったんですが、「もし本当に必要なくなったら、売ったときにどれくらいになるか」も考えました。例えば、売ったときに1、2万円くらいになるのであれば、その差額分で買ってから手放すまでの期間を楽しむ、という考え方もできるので。以前リユース業界でアルバイトをしていたこともあって、「仮に売るとしたら、このくらいの金額になるかな」というのは考えています。
内田:僕も高いモノほど考えます。バイクを買ったときも、もう作られていないエンジンだったので「将来売るとしたらどうなるか」ということは考えました。衝動買いでも、それが買う理由の一つになることはあります。ただ、結局今はもう売りたくないと思っているんですけど(笑)。
山口:私は逆で、捨てられないからこそ、そもそも買うことに慎重です。基本は「1カ月間、欲しいと思い続けるか」を考えてから買います。買ったらずっと持ってしまうと思うので、本当に必要かかなり調べます。
買うときからリユースを考える人もいれば、手放せないからこそ慎重に選ぶ人もいるのですね。では、実際に手放すときは、メルカリや店舗、知人への譲渡などをどう使い分けていますか?
河野:私は、モノの価格と手間で使い分けています。そんなに高くないカジュアルなものだったら、その場ですぐ売れる店舗を選びます。一人暮らしで車もないので大量の荷物を持って歩くのも大変なので。一方で、高かったブランド品などは専門店に持っていきます。売る場所によって価格差もあるので、そのモノの価値を見ながら使い分けていますね。
内田:僕は手間がかかるのは嫌なのですけど、それでも漫画はメルカリです。中古買取店に持っていく方が簡単かもしれないですけど、「欲しい人に届く」というところを結構大事にしています。
山口:私は、まず知っている人に譲れないか探します。自分が納得して渡せる人を探して、それで見つからなかったらメルカリ、という順番です。
3人とも「捨てる」のとは違う理由で、売ったり譲ったりする方法を選んでいるのですね。リユースという手段を選ぶことで、手放すときの気持ちは変わりますか?
河野:私は気持ちが全然違います。捨てることにはすごく罪悪感があるんです。でも売ることは、私の中では罪悪感のある行動ではないですね。ほかの方が使ってくださる、というふうに割り切れますし、お金にもなるのでよい循環だと思います。
内田:僕も誰かにつなげるって思ったら、全然気持ちが違いますね。
山口:私もそうですね。ただ処分するよりは、同じような気持ちを持っていて活用してくれる人に、自分の思いも引き継いでもらうと嬉しいなと思っています。

3人とも、思い出のあるモノを手放すことには、それぞれ迷いや抵抗がありました。一方で、売る・譲るといった方法を選ぶことで、気持ちが少し変わることもあるようです。
誰に渡るか、手間、価格など、重視するポイントは人それぞれ。思い出のあるモノだからこそ、ただ手放すのではなく、自分が納得できる方法を選ぶことが、気持ちよく手放すことにつながるのかもしれません。
「【U-30界隈 写真のホンネ】モノと思い出編 後編」はこれておしまいです。次回もお楽しみに!
RECOMMEND ISSUE
\あわせて読みたい/
PICK UP
\オススメ記事/
BACK NUMBER
\バックナンバー/