KIZUNA 2026 / 07 / 22
サステナ NEWS

70年前に販売したカメラが、保証書とともにキタムラにもどってきた奇跡の物語

最近では小学校の授業でも取り上げられる「サステナビリティ」。自然環境の保護や貧困や差別、人権侵害などを解消することで循環型の社会を目指す考え方だが、キタムラ・ホールディングス グループでは、どのようにサステナビリティ活動に取り組んでいるか、未来に向けて社会を存続させ、より良い世界を目指すためのさまざまな施策を取り上げます。

循環型社会の実現に向けて、キタムラ・ホールディングス グループが推進するリユース事業。リユースとは、単に中古品の売買をすることではありません。お客さまから受け継いだ品を次の世代へつなぎ、その価値を未来へ循環させていくこと。その本質を象徴するような出来事が、カメラのキタムラ高松/高松南店でありました。

70年の時を超えて、再びキタムラへ

MAMIYA6

全国の店舗で買い取られたカメラは、新習志野にあるキタムラのリユースオペレーションセンターの専門スタッフが一台一台丁寧に状態を確認しています。その確認の中で、カメラのキタムラ高松/高松南店で買い取られたカメラ「MAMIYA6 K型」と同送されていた保証書に目が留まりました。そこに記されていたのは、キタムラの前身である「北村商會」の文字。調べていくと、本体のシリアルナンバーと保証書の記載が一致したことから、このカメラが約70年前、キタムラで販売されたものであることが判明しました。70年前にお客さまのもとへ旅立ったカメラが、時を経て再びキタムラへ戻ってきました。

このカメラを持ち込まれたのは、県内在住の80代のお客さま。終活の一環として、長年愛用してきたカメラ数台を整理されていました。お話をうかがうと、このMAMIYA6 K型は就職して初めて購入した思い出の一台とのこと。当時は北村商會のライオン通店や瓦町店によく通われ、このカメラでご家族の写真を数多く撮影されたそうです。その後、新しいカメラを購入して使用する機会は減ったものの「最初に買ったカメラだから」と大切に保管していたとのことでした。保証書がきれいな状態で残されていたことからも、このカメラが大切に扱われてきたことが伝ってきたのです。

リユースオペレーションセンターに届くカメラからは、外観から長い年月を重ねてきたことがうかがえますが、その来歴までは分かりません。誰がどんな思いで使っていたのかを知ることはできません。ただ、店舗でのお客様とのコミュニケーションがそこをつなぎます。そこがキタムラの強みだと感じます。

MAMIYA6

今回の70年という歳月を越えて今日まで残され、再びキタムラの手元に戻ってきたことには、確かな価値があります。偶然のようでいて、リユースが生み出す「価値の循環」を感じさせる出来事でした。この出来事が持つ意味について、リユース部 部長の平賀さんに話を聞きました。

カメラは使われてこそ輝く

平賀さんはMAMIYA6 K型を手にすると、「70年前に自店で販売したカメラが、同じ地域で買い取られ、再びキタムラへ戻ってきたことに大きな価値を感じます」と話します。
キタムラではこれまで、「良いカメラを、より多くの人へ」という日本のものづくり文化への敬意と、「カメラは使われてこそ輝く。良い道具を次の人へ届けることが私たちの使命」という想いを大切にしてきました。取材などでリユースについて語る機会は多くありますが、今回のような出来事を実際に体験したことで、その価値を改めて実感したと言います。

また、70年前の保証書が残されていたことや、レンズにくもりや経年による劣化がありながらも、今なお撮影できる状態を保っていることについて、「持ち主のお客さまが長年にわたり大切に使い続けてくださった証」と語ります。さらに、70年前の販売時も、今回の買取時も、お客さまにカメラのキタムラを選んでいただけたことをうれしく感じたそうです。

近年はインターネットを通じて手軽に中古品を売買できる時代になりました。しかしキタムラでは、メーカーの技術認定を取得した修理スタッフが専門的な検査やクリーニングを行い、お客さまから受け継いだカメラを次の持ち主へとつないでいます。今回持ち込まれたMAMIYA6 K型のようなフィルムカメラは、すでに製造が終了しています。だからこそ、丁寧に修理し、その価値を未来へ受け継いでいくことが重要だといいます。

全国の店舗で中古カメラ事業を支えているのは、カメラへの深い愛情と専門知識を持つスタッフたちです。
平賀さんは「私たちは単なる販売員ではなく、カメラの価値を正しく評価し、お客さまに伝える『通訳者』でありたい」と話します。これからもカメラ専門店としての知識と技術を磨きながら、大切に受け継がれてきた一台一台を次の世代へつないでいきます。

70年前のカメラが見た2026年

今回持ち込まれたMAMIYA6が販売されたのは1950年代。当時の日本と比べると、街並みも人々の暮らしも大きく変化しました。
もし再びシャッターを切れるなら、70年前には想像もできなかった現代の風景を見せてみたい。そんな想いから、今回撮影場所に選んだのは新宿です。

今回の撮影では、コダックの「PORTRA」ブローニー120フィルムを使用しました。MAMIYA6 K型には現在のカメラのような自動巻き止め機構やシャッターカウンターがなく、カメラ背面下部の赤窓を覗きながらフィルムを巻き上げる「赤窓式」が採用されています。

70年ぶりにシャッターを切ったMAMIYA6 K型は、今もなお現代の風景をしっかりと写し出してくれました。一方で、フィルムの巻き上げはすべて手作業。撮影枚数を確認しながら慎重にフィルムを送る必要があり、慣れない操作に苦戦する場面もありました。実際に一部のコマでは写真が重なってしまうなど、当時ならではの難しさも体験しました。便利な機能が当たり前になった今だからこそ、一枚一枚を大切に撮影していた時代の空気や、写真を残すことの重みを改めて感じることができました。

社内報KIZUNA

高層ビルが立ち並び、多くの人々が行き交う東京・新宿。その風景を、70年前にカメラのキタムラ高松/高松南店から旅立ったカメラが見つめます。
70年前に誰かの手に渡ったカメラが、再びキタムラへ戻り、そして2026年の風景を写す。この出来事について、平賀さんは「リユースが単なる中古品の売買ではなく、価値を未来へ受け継ぐ仕事であることを象徴しているように感じます」と語ります。
モノを長く大切に使い、その価値を次の世代へつないでいくこと。その積み重ねこそが、キタムラ・ホールディング スグループが目指す『価値の循環』なのかもしれません。

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