「推しフォトスポット」はキタムラ・ホールディングス グループ従業員が推薦する全国各地の撮影地をご紹介。絶景や季節の風景と撮影ポイントを掲載。撮影計画にぜひお役立てください。
暮らしの中にあるアロエの風景
ラボネットワーク 河合 祐也

フイルム:コダック ポートラ160NC
伊豆白浜の海岸を朱色に染めるアロエの群生地、「アロエの里」をご紹介します。
アロエはアフリカ原産の植物ですが、民家の玄関先に鉢植えがあったり、児童公園にひっそりと自生していたりと、私たちの日常風景の中にも溶け込んでいます。日常空間にふと現れる異国の植物が、日本の原風景の一部になっている。そんな不思議な存在に惹かれました。
「アロエの里」には約3万株が海岸沿いに自生しています。明治時代に漁師の方々によって持ち込まれ、この地に根付いたそうです。町の至るところでもその姿を見ることができ、散策するだけでもさまざまなアロエとの出会いが楽しめます。
今回は海岸から住宅地へと歩きながら、生活空間に佇むアロエの姿をフィルムで撮影しました。使用したのはコダック ポートラ160NC。やわらかな発色と控えめなコントラストが特徴で、強い色を誇張するのではなく、光や空気感を穏やかに写し取ってくれるフィルムです。
デジタルで撮れば鮮やかに際立つ赤い花も、ポートラでは少し落ち着いた朱色に。海風を含んだ曇天の光や、住宅地に溶け込む緑の質感もやさしく包み込み、異国の植物であるはずのアロエを、この土地の風景として自然に定着させてくれました。どこか懐かしく、記憶の奥にある風景のように感じられるのは、フィルムならではの描写によるものかもしれません。
群生地、小さな集落、そして“野良アロエ”。それぞれの佇まいの奥にある、この土地で共に生きてきた時間の積み重ねを感じながらシャッターを切りました。
12月から1月上旬には「アロエの花まつり」が開催され、青い海と空を背景に炎のような花穂が立ち上がる景色は圧巻です。
おすすめは人の少ない1~2月。花は少なく枯れた姿になりますが、澄んだ光が控えめな存在感と生命力を静かに浮かび上がらせてくれます。
午前中は海側からやわらかな光が入り、立体感のある写真が撮影できます。アロエの赤と海の青を印象的に写すならこの時間帯がおすすめです。また、花は細かな筒状の集合体のため、逆光で撮るとやさしく輝きます。葉の縁にはトゲがありますので、夢中になりすぎず撮影をお楽しみください。
ついスマートフォンで手軽に写真を撮ってしまいがちですが、あえてフィルムを選ぶことで、光や時間と向き合う感覚が少し変わります。ゆっくりと風景に向き合う撮影体験そのものが、この場所の魅力の一つだと感じました。





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