ラボネットワークは2025年の4月から、甲南女子大学の人間科学部生活環境学科 吉田ゼミに所属する学生向けに、写真に新たな価値をもたらすビジネスプロジェクトの授業を行っています。
前回の記事では、プロジェクトのキックオフから、学生たちのビジネスアイデアの中間発表までの様子をレポートしました。約半年が経ち、学生目線のアイデアをビジネスとして形にするなかで試行錯誤したことで見えてきた「写真事業の新たな価値観」について、プロジェクトを牽引したラボネットワークの伊藤 桜子さんにお話をうかがいました。
PROFILE
伊藤 桜子 さん
SAKURAKO ITO
ラボネットワーク クロスインダストリー営業部
今の時代に合った「写真の残し方」を学生目線で
前回の記事では中間発表までの様子をうかがいましたが、改めて今回のプロジェクトについて教えてください。
伊藤: 今回のプロジェクトは、大学生の視点を生かした、今の時代にあった新しい「写真の記念品」を作ることを目的にスタートしました。学生目線での商品のアイデア出しからそれをどうビジネスモデルにするかまで、全6回の取り組みを通して一緒に進めてきました。
そして、それらのビジネス案をブラッシュアップして、ワークショップを行ったり、卒業式でイベントを実施したり、最終的にビジネスを形にするところまで行いました。
結果として、2つのユニークな企画が形になりましたね。
伊藤: はい。ひとつは今若い世代を中心にトレンドになっているシールの企画で、写真とビーズを組み合わせ型にはめて作る「シャカシャカシール」です。もうひとつは「卒業式で撮影できるセルフフォト」です。卒業記念としての写真を大切に挟めるようオリジナルの台紙も作りました。既存の卒業記念品にはない、いまの学生ならではの「自分たちの思い出を自分たちらしい形で共有し、再現性を持って形に残す」という視点が詰まった企画になりました。

ゼロから形にする試作の苦労とラボ生産との連携
7月の中間発表から、ゴールに向かうまで大変なことはありましたか?
伊藤: 中間発表のときは「こういうことをやりたい」という話だけで、まだ具体的な形になっていない部分も多くあったので、そこから形にするのはやはり大変でした。特にシャカシャカシールは、本当にこれまでにないものの製作だったので、いちから商品を作るためにさまざまな試行錯誤をしましたし、ラボ生産の方にもご協力いただきました。ハート型のシールをつくるために、カプセルを作る必要があるのですが、オスとメスの型にプラスチックの板を温めて柔らかくなったものをギュッと押して、オリジナルのカプセルをつくりました。その型自体も、ラボ生産の方に最初から全部手作りで作っていただきました。そもそも「どうしたらできるんだろう」というゼロの状態から作っていったので、その状態から学生のアイデアをどれだけ再現させるか、ということは色々考えました。

学生のビジネスモデルと、どのような想いで向き合っていったのでしょうか?
伊藤: フィードバックをするときは、ポジティブなところと改善できそうなところ、どちらも言おうと思っていました。考えただけで終わりにすると、後々のビジネスモデルにつながらないことが多いと思います。「商品自体はいい。でも、これをどうしたらより多くの人に広められるのか? お金を払ってもらうためにはどうしますか?」という視点は、働いて初めて得られるものでもあると、自分自身が社会人になって気づいたことでもあります。そのため、「作ってみよう」という気持ちだけで終わらず、人にも価値を感じてもらうにはどうしたらいいか、を考えてほしいという気持ちで取り組んでいました
新たな「写真文化」を終わらせないために
卒業式での写真撮影やワークショップを終えて、今感じている手応えはありますか?
伊藤: 無事にどちらもイベントを終えることができました。シールは「作ってどうするの?」という懸念もありましたが、ワークショップにすることでお客さんもたくさん来てくださり、整理券配布が終了してしまうほどに人気を集めました。学生のみなさんが、自分たちの視点で新しいものを生み出してくれたなと感謝しています。
そして、こうした長期の産学連携は、ラボネットワークでは今までになかった取り組みですし、新たな一歩を踏み出せた、という感覚はあります。ラボ生産をはじめ色々な方のお力をお借りしながらゼロからイチを生み出すことができたのは本当によかったです。
ただ、今は一つ取り組みを生み出しただけでもあります。これを一つの「文化」として、より多くの人が価値を感じて、継続的にビジネスとして回るようにするにはどうしたらいいか、それが次の課題だと感じています。

今後、この取り組みをどう発展させていきたいですか?
伊藤: 既存の写真事業は、七五三や成人式など日本の文化として成り立ったものに、撮影やアルバム作成が入り込む流れですが、それだけではなく、顧客の視点を織り込んだ一歩発展した何かを作れたらいいなと思っています。
今、写真業界は縮小しつつあるという話もありますが、それならやっぱり「作る方」にも力を入れるべきだと思うこともあります。40代、50代の方が写真を残しても、その人たちがいなくなれば文化も消えてしまう。だからこそ、子どもや学生のときから「写真を残すのっていいね」と思える取り組みに力を入れることで、業界自体も盛り上がるのかなと思っています。

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