KIZUNA 2025 / 05 / 28
KHDグループの仕事人たち

vol.01

丸山 豊

カメラのキタムラ 新宿 北村写真機店 フェロー

キタムラ・ホールディングス グループには、その道を究めた「プロフェッショナル」が数多く所属しています。カメラ・時計修理の名工からプリント&印刷のエキスパート、商品企画、デザイナーまで。フォトライフ・カンパニーにおけるプロの仕事に迫る連載記事です。

本連載の初回に登場いただくのは、カメラのキタムラの旗艦店である新宿 北村写真機店で「フェロー」の肩書をもつ丸山 豊さん。フェローとは「研究者」を意味し、ドイツのカメラブランド「ライカ」の専門家として、仕入れや販売だけでなく、ブランドの研究まで仕事の領域としています。そんな丸山さんがいかにしてキャリアを築き、どのような思いを込めて仕事しているのか──インタビューに応じていただきました。

PROFILE

丸山 豊さん(人物画像)

丸山 豊 さん

YUTAKA MARUYAMA

株式会社キタムラに入社後、2005年にカメラのキタムラ新宿中古買取センターに配属。以降、秋葉原・吉祥寺・新宿の中古買取センターで店長を歴任。2020年より新宿 北村写真機店 6階ライカ/ヴィンテージサロンでフェローとして勤務している。

国境を越えたコミュニティが広がる社交場として、ヴィンテージサロンを育てていきたい

カメラのキタムラの旗艦店である新宿 北村写真機店。その顔ともいえる場所が6階にあるヴィンテージサロンだ。ひときわ目を引く木製カウンターを構えた高級感あふれるインテリア。そして、約100台を誇るヴィンテージモデルの圧倒的な品揃え。国内の常連客や海外からの来店が多いが、常に接客の中心にいるのが丸山さんだ。

オープンから5年。日本を代表する“ヴィンテージカメラの聖地”となった現在でも、「ヴィンテージサロンには、知識の豊富なお客さまがたくさんいらっしゃいます。分からないことは正直にお伝えし、教えていただくようにしています」と丸山さんは謙虚な姿勢を崩さない。

2024年6月、ドイツ・ライカカメラ社の公認ブティックが同じ6階にオープン。6階全体がライカの新品からリユース、そしてレアなヴィンテージまでが揃う世界でも例を見ないフロアとなった。丸山さんはヴィンテージサロンだけでなく、6階ライカフロア全体の責任者も務める。

最後に出会ったのがライカだった

では、丸山さんはどのような経緯があって、ライカの知識を深めていったのだろうか。

「入社してからニコンやキヤノン、そしてハッセルブラッドまで、ありとあらゆるメーカーのカメラを使ってきました。そして、最後に行きついたのがライカだったのです」

まず当時の最新モデルであるフィルムカメラのライカM6TTLを中古で購入。M型はライカのメインモデルであり、一眼レフとは異なるレンジファインダー方式のカメラ。構造的にコンパクトで軽量なのが特徴だが、手に馴染むサイズ感だけでなく、ずば抜けた描写力に圧倒されたという。

「すっかり、ライカの魅力にはまってしまい、それまで所有していたカメラのほとんどを売却してライカ一辺倒に。当時はネット情報が少なかったので、詳しいお客さまから話をうかがったり、書籍を読んだりして知識を深めていきました」

ライカといえば、カメラの発売から今年で100周年を迎える。長い歴史を有する唯一無比のブランドであり、世界中に多くの熱狂的なファンがいることで知られる。接客は難しいのでは?と尋ねると、こんな答えが返ってきた。

真贋チェックと価格設定が難しい

「接客よりも真贋のチェックとレアなモデルの価格設定がもっとも難しいです。見た目は本物で、中のレンズやシリアルが入れ変わっていたりすることもあります。塗られている部分が1カ所おかしいなど真贋を見極めるには大変気を使います。また、世界的オークションでも10年に一度しか出てこないようなモデルが現れた場合、価格をいくらに設定して買取るか頭を悩ませます」

ヴィンテージサロンの朝は、比較的ゆっくり始まる。

フロア東側に設けられた大きな窓からカーテン越しに射し込むやわらかな陽光。商品棚にずらりと並ぶヴィンテージの数々。穏やかな朝の光と時代を経て身にまとった風格あるカメラ&レンズが創り上げる光景は神秘的に見えることさえある。

丸山さんは出勤後、10時の開店前にサロンを丁寧に清掃、オープン後は接客の合間に商品メンテナンスも行う。常連のお客さまの来店が多くなるのは13時ごろから。そして、19時から閉店時間の21時がもっとも忙しくなる時間帯だという。夜が深まるにつれて、さまざまな国籍のお客さまが入り混じる。まさに、ヴィンテージサロンが特別な場所であることを感じさせる瞬間だ。

最後に、これからヴィンテージサロンをどんな場所にしたいか訊いてみた。

「ライカをはじめとするヴィンテージカメラファンの集うフロアというだけでなく、海外のお客さまとも自然に会話が生まれ、コミュニティが広がる社交場にしたい。いつか、このサロンでヴィンテージカメラのオークションを実施できたらいいですね」

MARUYAMA’S CHOICE

ライカM4ブラックペイント+ズミクロン35mmF2.0

公私ともに身近にあるヴィンテージライカという存在

丸山さん所有のライカM4ブラックペイント。レンズはズミクロン35mmF2.0を装着。仕事で取り扱うだけでなく、プライベートでもヴィンテージライカを愛用してきた。ゆえに、ライカブランドやヴィンテージへの思いは深い。

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