KIZUNA 2025 / 09 / 10
新宿 北村写真機店で売れているモノ

カラーネガフィルムの売れ筋3選

カメラのキタムラ旗艦店の新宿 北村写真機店はカメラのトレンドセッターとして、日々フォトライフ提案を発信し世界中のカメラファンが訪れ、たのしまれている店舗です。この連載記事では、新宿 北村写真機店勤務のスタッフが売れ筋の商品をご紹介します。

「懐かしい」が「新しい」

2007年に日本で初めて発売されたiPhone3Gは、わずか200万画素のセンサーで本体の背面にレンズが1つ搭載されたものだった。自動でピントを合わせるオートフォーカスのほか、フラッシュやズーム、ビデオの撮影はできず、自撮りで重宝するインカメラも搭載していない。

それから長い月日が経ち、iPhoneをはじめとしたスマートフォンはiPhone 3Gが発売されたときには想像もつかないほど成長。誰でも本格的なデジタルカメラと遜色ないレベルの高画質な写真撮影が可能になったことに加え、SNSの発達とともに誰もが写真に対して目が肥える時代となった。

高画質への進化とは逆行して、予測できない偶然の重なりや現像を待つ間の高揚感、粒状感のあるレトロな描写のフィルムは、高画質な写真を見慣れた方にとって「新しい」と感じるそうだ。

そんなフィルムブームは国内外問わず盛り上がりを見せており、新宿 北村写真機店には、アナログカメラ用のフィルムを求めて数多くの方が訪れる。今回はフィルムの販売や現像の受付を承る1階のリーダー、高橋 洋介さんに人気のカラーネガフィルムをうかがった。


まずはここから始める王道フィルム

Kodak(コダック) ColorPlus 200

Kodak ColorPlus 200はアメリカのフィルムメーカーKodak(コダック)が発売している感度200のカラーネガフィルム。感度とはフィルムが光にどれだけ反応するかの数字でISOとも表記されており、感度の数値はデジタルカメラのISO感度と同じように低くになるにつれて暗くなる。

デジタルカメラとの最大の違いとしてフィルムは撮影中にISO感度を変更することができないため、室内や夕方などの光量の足らない環境ではシャッタースピードを遅くするか絞りの数値(F値)を小さくして調整する必要がある。

Kodak カラープラス200でイチョウを撮影した写真

「Colorplus 200は誇張やクセが少なくフラットで素直な描写が特徴です。同じKodakから発売されている『Gold 200』とも似ている暖色傾向のフィルムで、日常の記録やスナップ、ポートレートなどで温かみがある優しい写真が楽しめます。感度は200ですがフィルム特有の粒状感もしっかりとあるため、デジタルでは出せないフィルムらしさもきちんと味わえるのが魅力です」

-お手頃価格だから選びやすい

Kodak カラープラス200を正面から撮影した写真

「現在発売されているフィルムは24枚撮りか36枚撮りのどちらかですが、Colorplus200は多く撮影できる36枚撮りでありながら価格が比較的お手頃なのも人気の理由です。初心者で本格的なフィルムカメラを持っていない方も多いので、コダックから発売されているプラスチック製のフィルムカメラ『Kodak Ultra F9』や、本来の2倍の枚数を撮影できるハーフサイズカメラ『コダック H35 N』と一緒にご購入されることが多いです」


富士フイルム感度400を救う期待の新星

富士フイルム FUJIFILM 400

FUJIFILM 400は日本を代表するフィルムメーカーの富士フイルムから発売されている感度400のフィルムだ。富士フイルムの感度400といえばレンズ付きフィルムの『写ルンです 』に装填されていたり、SUPERIA PREMIUM 400や惜しまれつつも販売終了となったPRO 400HやX-Tra 400など富士フイルムを代表する名品が揃う激戦区といえる。

そんなエース級が揃う感度400フィルムの一角を担ったX-Tra 400だが、2024年に残り在庫限りで販売終了。切り替わる形として元々は海外向けに販売されていたが日本国内でも販売されるようになったのがFUJIFILM 400だ。

FUJIFILM 400で大阪万博を撮影した写真

「FUJIFILM 400はこれまで富士フイルムをお使いの方で、特にX-Tra 400をお使いになっていた方が気になって購入することが多いです。KodakのColorplus 200と比べると色が鮮やかで少し青みがかった爽やかな描写で、KodakのUltra MAX 400に近いフィルムです。Ultra MAX 400はシアン(青み)が強めでコントラストが低く柔らかい写り、富士フイルムのSUPERIA PREMIUM 400が色鮮やかでハッキリとした写りに対してFUJIFILM 400はそれらの中間に位置しているようなフィルムです」

-FUJIFILMのネームバリュー

FUJIFILM400とティアラを並べて撮影した写真

「富士フイルムは日本のメーカーということもありインバウンドのお客さまからも人気が高いのですが、特に中国の方からの人気が高い印象です。当店で勤務している中国人のスタッフに聞いたところ、中国では富士フイルムのデジタルカメラ『Xシリーズ』や『GFXシリーズ』が非常に人気で、色味をコントロールするフィルムシュミレーションの美しい描写から『富士フイルム製のフィルムを使ってみたい!』とお考えの方が多いようです」


目の前の景色をドラマティックな仕上がりに

ILFORD(イルフォード) ILFOCOLOR Vintage Tone 400 PLUS

イギリス発祥のフィルムブランドのイルフォードといえばHP5やDELTAシリーズ、一般的なカラーネガフィルムの現像処理(C41)が可能なXP2などモノクロフィルムが有名なブランド。

カラーフィルムでは、レンズ付きフィルムのILFOCOLOR RAPIDが発売されており、2023年に待望のカラーネガフィルムとしてILFOCOLOR VintageTone 400が発売。ILFOCOLOR Vintage Tone 400 PLUSは、その後継版として発売されたフィルムである。

イルフォード イルフォカラー ヴィンテージトーン400フプラスで遊園地を撮影した写真

「ILFOCOLOR Vintage Tone 400 PLUSは、Kodak Colorplus 200やFUJIFILM 400とは系統が異なりヴィンテージな描写が特徴的なフィルムです。前モデルのILFOCOLOR VintageTone 400は青みが強く、撮影が難しいシーンも多かったものの新バージョンになって暖色寄りになりました。どんなシーンでもドラマティック、ノスタルジックに仕上がるのでフィルムならではの描写がより深く味わえます」

-欧米の方にも大人気

イルフォカラーヴィンテージトーン400プラスとライカ M3を並べて撮影した写真

「イルフォードはもともとイギリスの名門フィルムメーカーということもあり、インバウンドで来日された方の中でもイルフォードの認知度が高い欧米の方に人気な印象です。感度が400で扱いやすいことに加えて、前モデルが24枚撮りだったのに対して今回の新モデルで36枚撮りに変わり価格もかなりお手頃なので若い方にも大人気のフィルムです」


カメラのキタムラ旗艦店新宿 北村写真機店とは
国内外問わず数多くのフィルムカメラ・デジタルカメラを取り扱っており、特にライカを中心とした中古カメラは国内でもトップクラスの品揃えを誇りながらも、ジャンクカメラや使い切りカメラの販売もあり「カメラを愛するすべての人」がたのしめます。

\SHARE/

RECOMMEND ISSUE

\あわせて読みたい/

BACK NUMBER

\バックナンバー/

PICK UP

\オススメ記事/

トップへ戻る