キタムラ・ホールディングス グループには、その道を究めた「プロフェッショナル」が数多く所属しています。カメラ・時計修理の名工からプリント&印刷のエキスパート、商品企画、デザイナーまで。フォトライフ・カンパニーにおけるプロの仕事に迫る連載記事です。
本連載7回目にご登場いただくのは、ユー・シー・エス(以下、U.C.S)修理部の川嶋 悟稔さん。
多くのカメラをお客さまに販売・買取をしているキタムラ・ホールディングスにおいて、カメラ修理・点検を行うU.C.Sは壊れたカメラを救う最後の砦です。U.C.Sの第一線で活躍する川嶋さんに、カメラ修理の魅力や日々のこだわり、そして今後の展望について語っていただきました。
PROFILE
川嶋 悟稔 さん
SATOSHI KAWASHIMA
鉄道職員、空港職員を経てU.C.Sに入社。物流部にて2年働き、修理部に配属。カメラの"重要な部品”であるシャッター幕を中心に高い技術力を持ち、修理業務を行っている。
1000分の1秒の違いを音で聞き分ける
U.C.S本社には作業用デスクが並び、カメラの修理工たちは一心不乱にカメラに向き合っている。
各デスクには多くの修理用工具が並んでおり、これまで救ってきたカメラたちの歴史が静かに伺える。そんな威厳とした雰囲気を持ったオフィスの一角にある会議室で、川嶋さんになぜカメラ修理工を志したのかを訊いた。
「元々、小さい頃から乗り物が好きでした。小学3年生くらいに電車を撮影するためにコンデジを買ってもらい、それを機にカメラに夢中になりました。そのため、カメラに関係するお仕事をしてみたいという思いからU.C.Sに入社しました」
川嶋さんは"シャッター幕職人"を担当し、カメラ内での光の通り道としての役割を担うシャッター幕を中心に修理を行っている。その高度な修理において、どんなことが重要なのかを尋ねた。
「シャッター幕を貼り直すのですが、その際に1mmでもずれると撮影する写真表現が全く変わってしまいます。そのため、シャッター速度1000分の1秒を聞き分けて、正確に動作するように修理を行います」
自分が技術を継承していく
U.C.Sでは、日本中から修理の依頼を受けている。カメラ修理の現場で日々さまざまな作業に取り組む中で、どんなときにやりがいを感じるのかを投げかけてみた。
「使えなくなってしまったものを使えるようにするということは、自分の力量がカメラの命運を左右します。お客さまが大切にしていた気持ちを考えて、自らの手で修理できたときにとてもやりがいを感じます」
川嶋さんが修理を担当しているフィルムカメラの多くは、数十年前に発売された機種が多く、メーカーでは修理の受付が終了している機種ばかりだ。しかし、お客さまからしてみれば、長年使用した愛機でもう一度写真を撮りたいという思いから、修理を依頼してくる。
「修理部配属当初に、修理工として師のような存在である清水さんという先輩修理工からAE-1(キヤノンが1976年に販売していた世界初のマイコン搭載の電子制御式一眼レフ)の修理方法を学びました。清水さんは35年以上も修理工をしており、修理技術を習得できていたから、AE-1をいまも修理できます。だからこそ技術の継承を途絶えさせてはいけないと思っています」
もっと多くの機種を修理できるように
日々、カメラを多く触れている中で修理をしてみたいカメラはあるのかを伺った。
「二眼レフカメラを修理してみたいです。ジャンクカメラが骨董品やインテリアとして飾られているのをよく見かけますが、オシャレだと思う反面、修理工としては修理してあげたいと思ってしまいます」
高い技術力を持ち、U.C.Sを牽引する存在となっている川嶋さんは今後どういったことが目標なのだろうか。
「多くの機種を修理できるようになりたいです。積極的に気になる機種があれば解体し、構造を理解して修理できるように学んでいます」
KAWASHIMA'S WORKS
シャッター幕の修理
1000分の1秒の狂いも許さない
シャッター幕はカメラの要。微細な動きを一つひとつ確認し、清掃や調整、必要に応じて交換をすることで、光の通り道を正確に蘇らせる。
古いカメラも、丁寧な手仕事で再び軽やかなシャッター音を響かせる。お客さまにとっての愛機職人に高い技術力でもう一度、命を吹き込む。
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