KIZUNA 2025 / 05 / 28
KIZUNA NEWS

カメラのキタムラ「ぺたねーむEXPRESS」がグループ初となる「グッドデザイン賞」を受賞 

2024年7月に「日本子育て支援大賞2024」を受賞したカメラのキタムラのオリジナル商品 「ぺたねーむEXPRESS」(以下、ぺたねーむ)が、キタムラ・ホールディングス グループ初となる「グッドデザイン賞」を受賞しました。

グッドデザイン賞は、デザインによって暮らしや社会をよりよくしていくための活動で、1957年の開始以来、広く親しまれたアワードです。人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものをデザインととらえて、その質を評価しています。

ぺたねーむは、「子育て世代の課題を解決する新しい体験価値を創った、業界の真のリーダー」として、 サービスデザインを評価され受賞となりました。受賞の喜びと今だから言える開発秘話などをぺたねーむ立ち上げ期の中心メンバー 小岩井 麻美さん、小田 夏生さん、荒牧 敬太郎さん、麦 焜亮(バク コンリョウ)さんにうかがいました。

グループ初の「グッドデザイン賞」はチームの力で獲得した賞

受賞おめでとうございます!小田さんはグッドデザイン賞を獲るのが夢だったとお聞きしましたが今のお気持ちは

小田:デザインアワードの中でも認知度も注目度も高いグッドデザイン賞の受賞展には、学生のころから毎年足を運ぶほど興味を持っていました。そのグッドデザイン賞に挑戦するきっかけは、ぺたねーむのリリース後に小岩井さんとお昼を食べているときに夢を聞かれ「デザイナーとしては、グッドデザイン賞を獲ってみたい」と伝えたことからです。小岩井さんから「ぺたねーむで挑戦してみようよ!」と言われ、私も「確かに!ぺたねーむなら獲れるかも!」と思い受賞チャレンジが始まりました。ぺたねーむはとても価値のあるサービスだと信じていましたが、審査員に、子育てをする親にとっての価値を瞬時に理解していただくためのアウトプットは工夫が必要で、選考にはチームで気合を入れて挑みました。なかなかうまく伝えることができず落選もありましたが、3度目の挑戦でついに受賞することができました。受賞内定の連絡をいただいたとき、飛び上がるほど嬉しかったです。

夢が叶うなんて素敵ですね!リニューアルを重ね、着実に実績を積み上げてきたことが成果に現れたと思いますが、今だから言えるぺたねーむの開発秘話などありますか

小岩井:ぺたねーむは「今すぐ欲しいのに間に合うサービスがない!」というお客さまの課題を解決するために「日本一早く手に入る、高機能お名前シールサービス」を目指しました。そのためには、「他社が工場の高性能機器で生産しているのと同水準の商品を、カメラのキタムラの店舗にある600台以上のプリンタで作る」という大きな壁をクリアする必要がありました。業界では前例のないチャレンジだったので、お客さまが満足しかつ店舗の機器で作れることを両立する商品を開発することは言葉では伝えきれないほど大変で、とにかく泥臭い検証と失敗の連続でした。

その高い壁に1番初めに粘り強く向き合ってくれたのが、社内でプリンタを熟知している人と聞くと必ず名前が上がる、熟練の知識と技術を持つ荒牧さんでした。

荒牧:ぺたねーむは企画から資材の開発・受注システム・生産・販売まですべて自社でゼロから作るSPA商品だったので、企画の相談をされたときは、無理なのでは・・・、かなり難しいな・・・と思いました。でも、実現性の判断は行ってみないとわからないので品質検証に挑みました。算数教材のおはじきなどに貼る3~4mmサイズに印刷するのは特に高いハードルでした。3ヶ月以上プリンタの前に座り、何度もプリンタやデザインの調整をしながら検証を1,000回以上行い、半年かけてやっと「提供できる」と確信が持てる状態になりました。

小田:従来のお名前シールは、工場の専用機器を使って名前を印刷し、複数の加工を一か所の生産拠点で完結するのが一般的です。しかし、ぺたねーむは「最短1時間で提供」を実現するために、600店以上の拠点で600人以上のスタッフが印刷工程に関わるので、安定したサービスを提供するためには、あらゆる状況に対応する必要がありました。 一例として、プリンタの性質上印刷難易度が高い商品があるため、システムやテスト用ツールなどの仕組みを用意し、スタッフの調整作業をサポートする工夫を凝らしました。

小岩井:苦労したメニューは2つありましたね。1つは前述の極小シールに印刷する仕組みを作ること。そして、もっと苦労したのは衣類用の資材開発です。

保育園には毎日大量の服を持っていくので衣類用はマストでした。衣類に貼れる・店舗のプリンタと相性が良い・洗濯耐久性が高いという条件の資材を、色々なメーカーに相談しました。しかし、前例がない生産プロセスに対応できる資材を用意することに、多くのメーカーがお手上げ状態でした。手に入る資材を片っ端からリサーチし「ようやく良い資材に出会った!」と喜んだものの、それは中国のメーカーのものでした。当時の私たちには商品開発のノウハウが不足していた上に、言葉も商慣習も違う中国メーカーとどうやって交渉して取引をすればよいのかわからず途方に暮れていました。

そんなときに奇跡が起きました。中国出身のプロバイヤーの方が中途入社したという話を耳にしたのです。それが麦さんでした。「救世主現る!」と、入社2日目の麦さんにお声がけして、初めましての挨拶と同時にヘルプを出しました。

すごいタイミングですね。入社2日でプロジェクトに仲間入りなんて麦さんもビックリしたのではないですか

麦:私は元々モノづくりやバイヤーの経験がありキタムラに入社をしました。小岩井さんから「商品開発のための中国メーカーとの交渉をして欲しい」と相談を受けたときに、私自身も新米パパとしてお名前シールの納期に課題を感じた経験があったので、コンセプトにとても共感しました。新しいチャレンジが好きなので、一緒にサービスリリースを実現したいという想いで引き受けました。

商談を進める中で資材がすごく優秀なのはわかりましたが、安定供給と安全性に不安があったのでそのメーカーと取引することをやめ、国内でもう一度探すことにしました。まず大手の印刷会社に相談をしましたが良いお返事がなく、探しに探して類似する資材を製造しているメーカーを見つけることができました。商談を重ね、試作品を何度も作ってもらい十数回の改良を行っていただき、やっと条件にあった資材を手に入れることができました。

ゼロから作るモノづくりが好きなので、プロジェクトメンバーになれてよかったと思っています。

小田:ぺたねーむのためにゼロから開発した資材だから、開発過程で予期せぬ出来事が何度も起きて大変でしたよね。

麦:そうですね。工場で一部のデザインを印刷して納品してもらうための量産に立ち合ったときに大きな問題が発生しました。色がきれいに付着しないのです。店舗でも同じ問題が起きてしまう懸念があったので、工場の近くのカメラのキタムラ フレスポ八潮店で印刷のテストを行いました。店舗でも同様の問題が発生したため、資材メーカー・工場・私たちの3社で仮説を立て改善策を練り、対策を取りましたがすぐには解決せず、工場とフレスポ八潮店の間を何往復もして仮説検証を繰り返しました。朝から開始し、解決策を見つけたときには夜になっていました。とても泥臭い検証でしたが、チームが一丸となった出来事でした。改めて、フレスポ八潮店の店長・スタッフのみなさんご協力いただきありがとうございました。

これぞ・・・ 一難去ってまた一難ですね。そして、やっとリリースを迎えたということですか

荒牧:いやぁ~。ピンチを乗り越えたと思ったのですが、リリースの1ヶ月前にまた予期せぬ出来事が起きました。複数のプリンタで何度もテストを重ねていましたが、季節が冬になり湿度や気温変化が原因なのか、印刷品質が突然不安定になりました。プリンタのコンディション次第で稀に品質が合格基準を下回ることが発覚したのです。

また1つずつ解決策を模索する日々が始まりました。例えば、ある事象に関しては温度に関する麦さんの仮説から急遽サーモグラフィーカメラを入手して測り、発見した事実を基に解決策を考えました。熱伝導率を高める改良を進めながら、小田さんと仮説を立ててデザインの調整を行うなど仮設検証を繰り返し数十店での検証を経て、無事にリリースすることができました。

しかし、プリンタの個体差をカバーしきれず、数店で品質不安定な状況が発生してしまい、ご迷惑をおかけしたことは申し訳なく思っています。プリンタの交換などで対策しましたが、商品をゼロから作り上げるSPAの大変さと新たな学びとして私たちの知見になりました。

小岩井:1年に1度しかない需要期が迫っていた最終段階で窮地に追い込まれ「もしかして、今年はリリースできない可能性も・・・」と、眠れない日もありました。しかし、これまで修羅場を乗り越えてきた私たちは執念で問題に向き合いました。無事リリースに間に合ったときは、とてつもなく安堵し、チームの底力を実感したのを覚えています。
ご迷惑をおかけすることもありましたが、店舗のみなさんやお客さまのご意見を元に2年目、3年目とリニューアルをして実績を積み重ねた結果、この賞が貰えたと思っております。

すごい!これぞチームワークですね!

小岩井:そうですね。ぺたねーむは、リサーチ・企画・商品開発・物流・システム開発・生産・販売・マーケティングのすべてを自社でハンドリングして創ったサービスなので、本当に多くのみなさんにご協力をいただきました。各領域のプロフェッショナルな方たちとチームで同じゴールを目指して創り上げたサービスです。

立ち上げ期の立役者を何人かご紹介します。

特に、今回評価していただいたのが「サービスデザイン・体験価値」である通り、顧客体験の重要な役割を担っているのが店舗でした。その店舗との懸け橋となってくれたのがイメージング部の多賀さんです。新しい取り組みでしたが「お客さまへ良いサービスを提供するためなら」と、常に前向きにどうやったら実現できるかを一緒に考え推進してくださいました。
そして、顧客体験をシームレスに提供するための仕組みを作ってくれた開発チームのみなさんも欠かせない存在です。システム開発は、最初に決めた要求・要件に沿って進めますが、商品開発に苦戦していたのでなかなか確定しないことが多く迷惑をかけてしまいました。それにも関わらず嫌な顔せず「開発のことを気にして、小岩井さんたちがやりたいことを諦めなくていいから、ギリギリまでがんばれ」と柔軟に対応し、応援してくださいました。

さらに、顧客視点とデザイン品質へのこだわり、職務を超えた圧倒的主体性でぺたねーむの顔を作ってくれたWebデザイナーの宮里さん。中途入社直後にプロジェクトの一員になり、溢れるチャレンジ精神でWebサイトやマーケティングの基盤を1から創り、成果の最大化に貢献してくれたマーケターの阿部さん。メンターとして様々な修羅場でチームをサポートしてくださった上司の甲斐さん。そして何より、このサービスをお客さまへ提供してくださっているお店のスタッフみなさんに感謝しています。(他にもお名前を挙げたい方は沢山います)

また、社内報KIZUNAでぺたねーむを取り上げていただいたことをきっかけに、ユーザーとしての声を寄せていただき、サービスの拡大にご協力いただいたこともありました。改めてグループのみなさんのおかげで獲れた賞だと思っています。先日の「日本子育て支援大賞」と同様に、今回の受賞が企業価値の向上と普段情報が届かない層にサービスを知ってもらうきっかけになればと思っています。日本中の子育て家庭の"心"と"時間" にゆとりを提供し、お子さまの新たな成長ステージを笑顔で迎えた思い出をつくる一助となることを願い、これからも一丸となってサービスを育てていきます。ありがとうございました。

受賞履歴

2024年7月 「日本子育て支援大賞2024」受賞

2024年10月「グッドデザイン賞」受賞

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