2020年の新宿 北村写真機店オープン時に発行したブックレット(無料配布冊子)を、2024年7月、店内改装や新宿 北村写真機店HPのリニューアルにともない刷新。初版の発行から1年経たないうちに第二刷を発行するなど、多くのお客さまに読まれています。ブックレットを制作された、キタムラ・ホールディングス 社長室 安藤 貴之さん、秋元 智貴さん、久米井 梓さんにお話をうかがいました。安藤さんは新宿 北村写真機店 プロデューサーとして、秋元さん・久米井さんは以前の新宿 北村写真機店での勤務経験を活かし、ブックレットの編集に携わっています。
キーワードは「フォトライフ」
ブックレットを見た第一印象は、写真家の情報が多いなと感じました。前回のブックレットは新宿 北村写真機店のフロアや商品紹介がメインでしたが、今回は「人」にフォーカスされたのですか?
安藤:新宿 北村写真機店が体現している「フォトライフ」をテーマに制作しました。
フォトライフとは、カメラ×人、写真×人など、カメラや写真が人生にもたらす豊かさや素敵さを表しています。単にカメラやフロアについて紹介するのではなく、フォトライフを実践している写真家や新宿 北村写真機店のスタッフなどの「人」にフォーカスを当てることで、カメラや写真と人との結びつきを伝えたいと考えました。カメラや写真と「人生」がどのように結びついているかを語っていただくため、写真家がメインにも見える構成にしています。
お金を払いたくなるクオリティのブックレット
写真が綺麗で紙質は触り心地良く、販売されている雑誌のようですね。
秋元:そうなんです。ありがたいことに、無料配布だと気づかずにお金を払おうとしてくださるお客さまもいました。多くの方に読んでいただきたいので、今回はTAKE FREEの表記を追加し、持ち帰ってもらえるよう工夫しました。
ブックレットは「グループ連携の産物」
安藤:このブックレットは、「グループ連携の産物」なんです。主役は新宿 北村写真機店ですが、編集・制作はキタムラ・ホールディングス 社長室が手掛け、ラボ生産が印刷を担当してくれました。また、キタムラのオウンドメディア『ShaSha』にブックレット記事の拡大版を掲載してもらい、連携を広げることができました。
「グループ連携」はキタムラ・ホールディングス グループが大切にしていることですよね。グループ内で編集から印刷までを内製したことで、メリットや強みに感じることはありましたか?
安藤:優れた色の再現性はもちろんですが、ラボ生産の強みは少部数の増刷が可能なことです。ラボ生産ではデジタル印刷を採用しているため、オフセット印刷とは異なり、大量の部数を刷る必要がありません。そして、グループ内ですべて制作したことで、今後小規模の改修などがあっても、ページの一部を差し替えして「第二刷」として刊行するなど細やかな対応ができます。とくに、新宿 北村写真機店のように改修機会が多い店舗では威力を発揮すると考えています。お店の改修等によって修正点が出てきた際に、すぐに差し替えることができるようになりました。
秋元:前回のブックレットはすぐに修正できなかったため、ブックレットを見たお客さまに「このフロア(売場)はどこですか?」と質問された際、「このフロア(売場)はもうないんです」とお伝えする時に心苦しさがありました。グループ内で編集・印刷が可能となったことでスピーディーに対応できるため、オウンドメディアの強みを実感しています。
こだわりのA5サイズ
新旧ブックレットを比較すると、内容やデザインがかなり変わっていますね。制作にあたり、特にこだわった点は何ですか?
秋元:一番のこだわりは、前回のブックレットよりもサイズダウンし、少しでも持ち帰りやすくなるよう工夫したことです。前回のブックレットはA4サイズでしたが、今回はA5サイズと手持ちバッグに入るコンパクトさを目指しました。元々はB5サイズへの変更を考えていましたが、持ち運びやすさをより重視し、旅行用ガイドブックにも用いられるA5サイズに変更しました。また、TAKE FREEの表記を追加して持ち帰ってもらえることが増えました。
A5サイズなら、休日持ち歩いているバッグにも入るので嬉しいですね。サイズダウンしていますが、見ごたえが増しているような気がします。
秋元:記事の文章量は減っていますが、サイズダウンしても写真がしっかり見えるように配置し、フロアガイドページも全フロアが同じ大きさになるように変更しました。今まではフロアごとにメリハリをつけていましたが、フロアスタッフにとっては自身の持ち場が誇りなので、差をつけないように配慮しました。全体的に写真を大きめにレイアウトしたことで、サイズダウンしても見ごたえは増したのかもしれません。編集部3人で協議を重ね、記事内容を決めました。
これまでShaShaや新宿 北村写真機店のWEBコンテンツを編集しており、記事を書くことへの抵抗はありませんでした。しかし、ブックレットがサイズダウンしたことにより文字量が減って、「もっと伝えたいけれど簡潔に書かなければ・・・」と葛藤がありました。一方で、文章が短すぎても想いやこだわりを伝えることができないため、一文、一言を丁寧に選びました。
英語の文章は、同じ内容を記載しても文章量がより多くなってしまいますよね。文字数の調整がかなり大変だったのではないですか?
安藤:インバウンドのお客さまも多いので、英語版もかなり気合を入れて制作しました。おっしゃる通り文字数には制限があるので、溢れた文章は割愛しています。
文字数以上に苦労したのは、翻訳です。英語ネイティブではない人にも多く読まれることを想定した翻訳にしています。英語ネイティブにとってはカッコイイ表現だけど、ネイティブじゃない方には伝わりにくい表現を避け、一語一句注意深く選びました。
ブックレットがリニューアルして約1年が経ちましたが、お客さまの反響はいかがですか?
久米井:やはりブックレットをサイズダウンしたことで、持ち帰ってもらいやすくなっています。特に、6階ライカフロアでの減りが早く、常連のお客さまにも反響をいただいています。最近増加しているインバウンドのお客さまは、日本人よりもカバンが小さい傾向にあるため、持ち帰ってもらう機会が増えました。ブックレットのサイズダウンにより手軽さが増し、新宿 北村写真機店をより深く理解してもらえるようになったと実感しています。
久米井:お客さまからは、「海外から来ていて日本語が読めないため、英語のブックレットを見ながらショッピングをしている」という声をいただいています。新宿 北村写真機店のスタッフからも、「リーダーの顔が見えるようになったことで、『ブックレットに掲載されているスタッフに、この前○○を紹介してもらったよ』など常連のお客さまとのコミュニケーションに繋がっている」など、ポジティブな感想ばかりで、大きな反響があります。また、スタッフが自宅に持ち帰り家族に見せると、「『こんな素敵な人たちと働いているんだね』と言ってもらえて嬉しかった」と新宿 北村写真機店だけでなく、店舗スタッフの魅力も届けられるのだと知りました。
本日はありがとうございました!
ブックレット刷新にともない、国内外のお客さまに読んでいただく機会が増えそうですね。これからの新宿 北村写真機店がより楽しみです!
RECOMMEND ISSUE
\あわせて読みたい/
BACK NUMBER
\バックナンバー/
PICK UP
\オススメ記事/