2025年10月にキタムラ・ホールディングス グループ入りしたE2ケアホールディングス。その傘下企業において異彩を放つのがアイウェアのセレクトショップ「POKER FACE」です。そこで、同社代表取締役社長である清水 崇生さんにインタビュー。POKER FACEの知られざるストーリーをお話しいただくとともに、メガネ選びのポイントから写真にまつわる思い出まで、たっぷりと語っていただきました。
メガネ選びから愛聴盤まで、清水社長に10の質問!
POKER FACEの特徴について教えてください
POKER FACEには、立ち上げから変わらないコンセプトがあります。本来、メガネというツールは視力の補正矯正器具なのですが、ただの補正矯正器具にとどまらず、自分のファッションと組み合わせる「ファッションパーツとしてのメガネ」を提案してきました。よく見えるというのは物理的な快適感なのですが、いわば「スピリッツとしての幸せ感」を提供していくのがPOKER FACEなのです。
最初の店が渋谷にオープンしたのは1990年ですが、会社としての設立は2021年とまだ生まれたばかり。もともとPOKER FACEを運営していた会社が多種多様な業界に進出していたことから、アパレル、コスメ、アクセサリーといった他業種の情報を得られました。そうすると、メガネ専門店だけど、アパレルの匂いがしたり、アクセサリーショップのようなアイデアが出てきたりする。そんなバックボーンがあったからこそ、クロスオーバー感覚のあるメガネ専門店になっていきました。
アイウェア業界およびPOKER FACEの未来展望は?
昨今のアイウェア業界は、様々な思惑により企業合併や吸収が頻繁に行われています。こうして大型化していく企業が、これから更に力を持ち業界に影響を与えていくことも想定されます。一方で、POKER FACEのような巨大とはいえないサイズ感の会社は戦い方を考えて、もっと差別化することと、セレクトショップとしての強みを強調していく必要がある。
全国23店舗というのは、全国チェーンとしてはビジネス的にも非効率な部分が多いため、店舗数を増やさなければならない。POKER FACEには、一定のお客さまについていただいているものの、POKER FACEには行きにくいと感じている層、あるいは来店したことのない層は確実に存在するので、異なるコンセプトの別ブランドを立ち上げる可能性も含めて、店舗を拡大していきたい思いは強いです。
今後のメガネショップのあり方をどのように考えていますか?
多店舗化を始めてから約30年という年月が経ち、当時20代だった若者ももう50代ですが、当社のお客さまの中心は40代以下です。今のPOKER FACEにはシニア層が足を向けにくい状況があるわけです。では、40歳、50歳になったファッション感度の高いお客さまは、特別感のある高感度な眼鏡をいったいどこで買うのだろうかと想像すると、POKER FACEが受け皿を用意すべきではないか、とも考えています。
それと、メガネは他の製品と比べるとECでの販売は難しい面があります。でも技術革新やユーザーの考え方の変化がECの追い風になる可能性は否定できません。一方で、やはりリアル店舗の必要性はおそらく変わらないだろう、と。
というのも、実際に眼鏡を掛けたときの見え方や、かけ心地の調整が最も重要だからです。ECでは、そういった調整をお客さまに委ねることになるので、現段階ではまだ乗り越えなければいけない要素が多い、難しい課題だと思います。
アイウェア業界に入ったきっかけは?
もともと多種多様な業種・業態を抱えていた当時の運営会社の試験店舗で、1店しかなかったPOKER FACEが1997年に多店舗化することが決まり、本社にいた先輩が任されることになった。当時、私は同じ運営会社でメンズ雑貨店の店長を務めていました。その先輩から「興味ある?」と声をかけられた私が「やってみたいです」と答えたことから、アイウェア業界に足を踏み入れることとなりました。
使っているメガネのこだわりポイントは?
インスピレーションで選ぶのですが、丁寧な仕事が感じられるメガネに惹かれます。これは眼鏡に限らずモノを選ぶときの基準になっている。最近のデザイン的な好みでいうと、ゴールド系のメタルフレームを選んでしまいます。それと、似合う眼鏡という意味でいえば、やはりサイズ感は大切ですね。
ただ、どうしても同じようなテイストのメガネを選んでしまいがちなこともあり、誰か第三者にあえて選んでもらうことが今までにもありました。自分では選ばないデザインのメガネだけど、試してみたら意外とよかった、というケースがあるのはファッションと同じですね。
仕事における信条はありますか?
「手癖(てくせ)」で仕事はやらない――。仕事というのは、繰り返しているうちに上達していきます。どんな仕事であっても。それはある意味、熟練の技といえるもので自分自身の強みにもなります。一方でそれが「手癖」となり、考えずにこなす仕事になってしまう側面もあると思います。実際、私にもあります。手癖でやってしまうと仕事が作業になってしまい、自分自身の成長とか新しい創造とか、そういうものを止めてしまう原因になりがちです。
尊敬する人物はいますか?
自分にとって神様のような存在はいません。では、どんな人を尊敬するかというと――自分自身のことをよく理解して、自身の力を最大化して、目的に向かって行動できる人ですね。
写真やカメラにまつわる想い出はありますか?
自分自身は写真を撮るのが上手ではないんです。写真というのは実物よりよく見せられることもあるし、実物を劣化させてしまうこともある。私が撮ると、ほとんど劣化してしまう。なんでなんですかね(笑)。それでもフィルムカメラで撮っていた頃の方が上手に撮れていたと思います。
以前は物件の下見に行く際にレンズ付きフィルムの「写ルンです」を持参していたものです。下見から帰ってきて現像に出して、出来上がるまで本当に撮れているか分からないという不安と期待が入り混じった感覚が、かつては普通にありました。だから出張で下見に行ったときなどはもちろん、そうでないときもとても慎重に撮影していたので、今よりうまく撮れていたんじゃないかな。今とは撮影に向かう真剣度がまったく違いますから。
愛用品を教えてください
昔から音楽が好きで、レコードもCDも、そしてサブスクでも聴きます。アナログレコードは一度CDなどのデジタルメディアやサブスクの発展で絶滅寸前だったのが、また復活しましたよね。そのようなわけで、きょうはレコードを一枚選んで持ってきました。
あまりマニアックなものではなくとっつきやすい一枚で、マシュー・スウィートとスザンナ・ホフスによるカバーアルバム『アンダー・ザ・カバーズ』です。もともとカバーアルバムはあんまり触手が伸びる方ではありません。ただ、これはアーティスト2人とも好きだということと、ベテランアーティスト2人が愛をもって誠実に、溌溂と、元気に歌っている感じがとてもいい。オリジナル曲がリリースされた60~70年代の楽曲が大好き、というのが伝わってきて爽快です。
KHDグループ従業者に伝えたいことは?
POKER FACEから見たら、キタムラ・ホールディングス グループというのは巨大なわけです。一方で、2つ目の質問のところでお答えしたように、POKER FACEも拡大していきたい。キタムラにも、1,000億の売上を作るために必要なことがあったはず。もしくは、売上を維持するために必要なことがあるはずで、それが何なのかシンプルに知りたいです。
新たに出会う方々といろいろな話ができればいいし、仕事への思いとか、苦労話をお聞きしながらコミュニケ―ションを取ることで、うっすらとでも見えてくることがあれば嬉しいですね。
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