KIZUNA 2025 / 05 / 28
U-30界隈 写真のホンネ

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【フィルムカメラ編 前半号】私たちがフィルム撮影にこだわるわけ

最近、「Z世代はデジタルネイティブでSNSを頻繁に使用している」「20代の若者に平成レトロが人気」など、いわゆるZ世代についての情報を耳にする機会が多いのではないでしょうか。しかし、実際のZ世代は「キラキラしたSNSから離れたい」「平成レトロはサブカルチャーとして一部の界隈で賑わっているだけ」など、みなさんのイメージとは異なるかもしれません。「20代のホンネ」を知り、一般認識との違いや理解を深めることを目的として企画されました。

今回は、「フィルムカメラ」を始めたきっかけや、難しさや楽しさついてお話いただきます。
フィルムカメラが「好き」でこだわりを持っている方々にお集まりいただきました。よろしくお願いします。

PROFILE

久保 望さん(人物画像)

久保 望 さん

NOZOMI KUBO

フォトクリエイト 人事部

会社のカメラが好きな人たちと写真を撮りに行ったことをきっかけに、フィルムカメラにハマる。人の写真を撮ることが好き。

瀧本 颯さん(人物画像)

瀧本 颯 さん

SO TAKIMOTO

キタムラ 企画本部 リユース部

2024年に新卒入社し、入社前はカメラに興味が無かったものの、会社の先輩方の影響で楽しさに気づく。日頃カメラを持ち歩いている。

松森 由恭さん(人物画像)

松森 由恭 さん

YUSUKE MATSUMORI

カメラのキタムラ 新宿 北村写真機店

中学生の頃、父にもらったフィルムカメラがきっかけでカメラにハマる。大学では写真サークルに所属し、自分の手で現像していた。

早速ですが、フィルムカメラをはじめたきっかけを教えてください

瀧本:以前からデジタルカメラを持っていたのですがなかなかハマりきれず、僕はカメラ向いていないのかなと思っていました。そんなときにロモグラフィーを知り、価格もお手頃だったので7,000円の福袋「ラッキーバッグ2025 はじめてのカメラセット」を購入してみました。
ロモグラフィーのフィルムとインスタントカメラが入っていることは分かっていましたが、具体的に何が当たるかは分かりませんでした。狙っていたのはベーシックなフィルムカメラでしたが、チェキカメラが当たり、普段自分では買わないものだったので嬉しかったです!

瀧本:福袋に入っていたロモグラフィーのインスタントカメラを試してみたところ、設定が上手くできず全て真っ暗だったり真っ白だったり・・・思い通りに行かなかったことで真剣に向き合うようになりました。上手くいかなかったことが、逆にハマるきっかけになりました。

久保:フィルムカメラを始めたきっかけは、会社のカメラが好きな人たちと写真を撮りに行ったことです。後輩がコダックのハーフフィルムを使っていて、可愛いなと思い自分でも購入してみました。
次に持ったのは、所属しているフォトクリエイトの忘年会でゲームの景品としていただいた、ペンタックスのフィルムカメラです。
設定が簡単なオートでも綺麗な写真を撮ることができ、最近もよく持ち歩いています。

松森:僕は、中学生の頃に父からもらったカメラがきっかけでした。父が使わなくなったコンタックスを譲ってもらったのですが、このカメラがとにかく扱いやすく綺麗に写真が撮れるので、すぐにカメラにのめり込んでしまいました。今でもしっかり現役で、サイズが小さくバッグにも入るため毎日のように持ち歩いています。
大学生になってからは写真サークルに所属し、学校の現像機を用いて自分で現像し、廃液処理までおこなっていました。カメラを買って写真を撮り、現像してプリントする。とにかく楽しくて、当時は全ての貯金をカメラと写真につぎ込んでいました(笑)

フィルムカメラの難しさや楽しさを教えてください

瀧本:正直、感光したり真っ黒になったりするのはストレスにも感じます(笑)
ですが、フィルムカメラは「一枚一枚大切に保存してあげるような感覚」があり、好きなんですよね。一枚を撮るために全集中するあの瞬間がたまらないです。

松森:すごく分かります。また、巻き上げるのも、フィルムじゃないと味わえない感覚ですよね。フィルムカメラ独特の所作で、写真を大切に丁寧に扱う感じがとても好きです。
フィルムカメラは撮った写真を見返せないので、カメラに時間が取られないのも良いところだと思います。デジタルカメラは、写真を見返して設定を調整しながら再度写真を撮りますが、フィルムは一発勝負なので、撮る瞬間以外はカメラに時間が割かれません。友人などその場にいる人との時間に集中できる点も魅力に感じます。

久保:私は、フィルムがちゃんと巻けていなかったことが何度もあります。ショックだったけど、それも自分の思い出になったから良いかな、と割とすぐに切り替えるタイプです。
今回上手くいかなかったから次回はこうしたらきっと上手くいく、と学びと反省を繰り返し上達する過程がとても楽しいです!
新しいカメラを買うのも良いけど、今あるカメラともっと仲良くなって、一つひとつを大切にしたいなと思っています。

松森:フィルムで失敗したときはショックですよね・・・もはや、自分が撮りたいものを撮るのでなく、カメラに合わせて被写体を選んでいます。
使うカメラに合わせて、何が一番きれいに映るか、どんな被写体と相性が良いのか、常にカメラファーストで考えています。写真を撮るためにカメラを使うのでなく、カメラを使うために写真を撮る感覚です。

瀧本:「カメラファースト」の考え方にすごく共感しました。たとえばこのカメラでいうと、シャッターボタンがめちゃくちゃ固いので、ボタンを押す力でブレるし時間もかかります。撮り逃しを防ぐために、このカメラでは風景写真を撮ることが多いです。カメラに全集中するあの時間がすごく好きで、使えば使うほど愛着が湧いてきます。

久保:私も単純にカメラが好きなので、何を撮りたいかというより、このカメラを使いたいから出かけてみるということも多いです。フィルムカメラは、どんな風に写るかその場で分からないからこそ、何も考えずにシャッターを押しています。初心者なので、露出などの設定は細かくしていませんが、それで良い写真が撮れたときの感動が大きく、魅力に感じています。割と長いこと飽きずに続けられています!

瀧本:僕は、カメラは靴と似ているなと思います。ファッション感覚で持ち歩いて、日によって使うものを変える、その手軽さとラフさがハマった理由かもしれないです。 フィルムカメラは軽くてお手頃、ファッション感覚で購入できるものも多いので、「なんのカメラを買ったらよいか分からない」「カメラにあまりお金をかけたくない」という方も始めやすいですよね。

松森:わかります。ほどよいチープ感こそ、Z世代にフィルムカメラが流行っている理由かもしれないです。従来のカメラといえば、黒く重い一眼レフがイメージされましたが、フィルムカメラはポップな色味と軽さ、数千円台から購入できるものも多いため、学生さんも始めやすい点が良いですよね。そして、ただチープなだけでなく、フィルムの巻き上げがあったり感光したりする点は、ほどよくメカニック感があり探求心もくすぐられます。中学生から現在まで毎日のようにフィルム写真を撮影していますが、全く飽きずに日々「楽しい」を更新している気がします。

インタビューにご協力いただいた久保さん、瀧本さん、松森さん、ありがとうございました!今回は、U-30のフィルムカメラがお好きな3名に、フィルムカメラをはじめたきっかけやフィルムカメラの楽しさ、難しさについてホンネをうかがいました。
お話をうかがう中で、フィルムカメラの魅力として、「カメラに向き合う」「一枚一枚を大切に撮る」「使うほど愛着がわく」など、みなさんのフィルムカメラに対する愛情がとても伝わってきました。フィルムカメラは、フィルムの巻き取りや光の取り込み方で失敗してしまうことがあり、勿体ない・難しいと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、その上手くいかない経験こそ、学びとなり、探求心がくすぐられる楽しさなのですね。

次回は「【U-30界隈 写真のホンネ】フィルムカメラ編 後半号」です。
どんなときにフィルムカメラを使うのか、フィルムカメラの選び方、これから購入を考えている方へのアドバイスなどをうかがいます。お楽しみに!

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