KIZUNA 2026 / 03 / 25
U-30界隈 写真のホンネ

episode.04-2

【機材編 後半号】大切な瞬間を自分なりに残すための選択

世間は「Z世代のSNS利用」「若者の平成ブーム」といった情報で溢れていますが、実際の20代はSNS離れが加速していたり、平成ブームが一部で賑わっていたりと、一般認識とは異なるかもしれません。そんな20代の実像に迫る本連載は、「20代のホンネ」を知り、理解を深めることを目的として企画されました。

前編では、若手社員それぞれのカメラとの出会いや、写真との向き合い方をうかがいました。
後編では、三人が普段使っている「愛用カメラ」と、その機材を選んだ理由に迫ります。
機材の違いだけではない、それぞれの写真との付き合い方に注目です!

PROFILE

中岡 瑛さん(人物画像)

中岡 瑛 さん

AKIRA NAKAOKA

キタムラ マーケティング部

独学で写真を始めて4〜5年。現在は趣味としてカメラを楽しみながら、ときどきカメラマンとしての活動も行っている。

豊田 航平 さん(人物画像)

豊田 航平 さん

KOHEI TOYOTA

カメラのキタムラ 新宿 北村写真機店

大学で写真表現を専門的に学び、フィルムからデジタル中判まで幅広い機材に触れてきた。カメラそのものよりも「表現を支える相棒」を探すことをテーマに、これまで総額2,000万円相当の機材を購入・使用してきたという。

畑中 佑太さん(人物画像)

畑中 佑太 さん

YUTA HATANAKA

ラボ生産 企画本部

日本写真芸術専門学校卒業。学生時代から機材を売り買いしながら自分に合う一台を探し、現在はキャノンはEOS R5 mark ⅡとEOS R6 mark Ⅱを中心に、ニコンZfcなども使い分けている。

今使っている機材と、それを選んだ理由を教えてください。

中岡:今使っているカメラはフジフイルム X100VIです。このカメラを選んだ理由は大きく2つあります。
まず一つ目は、会社に入ってからカメラをほとんど触らなくなってしまったことです。これまで使っていたようなカメラだと、結局また触らなくなるだろうと思い、これまで触ったことのないジャンルのレンジファインダー型を選びました。二つ目は、撮影後の現像や編集があまり好きではないことです。編集が溜まってしまうことが多いので、レタッチなしでも良い描写が得られるカメラが希望でした。

豊田さん:なるほど、「触りたくなるカメラ」を選ぶというのは大事ですよね。
私はこれまでかなりいろいろなカメラを使ってきましたが、大学2年生のときに購入したライカのM10が、自分の考え方に大きな影響を与えたカメラだと思います。一度手放してしまったのですがそれを後悔して、社会人になってからM10-Pを使うようになりました。
以前はスタジオ撮影をすることが多く、フジフイルム GFX100やキヤノン 5D Mark IV、ニコン D850などを使っていました。ただ、日常のスナップには大きすぎると感じていて、フルサイズでコンパクトなカメラを探していました。
その後、ライカ M10を使い始めましたが、使ううちに「機械任せで撮らない」という意識が強くなりました。ピントや露出を自分で決めながら撮ることで、自分の視界をそのまま記録しているような感覚があります。またレンジファインダーはシャッターを切っても視界が途切れないので、自分が撮りたいと思った瞬間の目撃者でもいられるのです。
その経験から、写真で大切なのは良いカメラを持つことよりも、撮りたいと思える瞬間や景色に出会うことだと感じるようになりました。

畑中:確かにカメラによって撮り方の考え方は変わりますね。「目撃者になる」という感覚は面白いです。
私の場合は、正直なところ劇的な変化はありませんでした。キヤノン EOS R6を使ったあと、現在はキヤノン R6 Mark IIとキヤノン R5 Mark IIを使っています。操作性は共通している部分が多いので、カメラを変えた後に大きな違いを感じるわけではありませんが、使い続けると「R6よりピントが合いやすい」「R5は引き伸ばすと綺麗」といった細かな違いを感じます。
その細かな変化に何十万円もかけているのは、いい意味で馬鹿だなと思うこともありますが、それも含めて楽しんでいます。キヤノンはもともと完成度が高いので、劇的に変わるというより、使うほどに良さを実感します。

先ほどの話を聞いていると、機材を選ぶ理由はそれぞれの撮影スタイルとも結びついているように感じました。今の機材に変えてから、撮り方に変化はありましたか?

中岡:フジフイルム X100VIを買ってから、スナップを撮りに行く機会が増えました。
以前は被写体を決めてレンズを選び、準備してから出かけることが多かったのですが、今は歩きながら「これ撮りたいな」と思ったものをそのまま撮るようになりました。停車している昔のバイクだったり、ちょっとエモいと感じたものを気軽に撮ることが増えました。

豊田:なるほど、直感的な撮り方に変わったということですね。
私も以前は構図の完璧さをかなり意識していました。でもレンジファインダーを使うようになってからは、「とりあえず写っていればいい」という感覚で撮れるようになりました。
その結果、まずシャッターを切ること、出会った瞬間を大切にすることを意識するようになりました。撮影後にモニターを確認することも減り、目の前の瞬間に集中するようになりました。

畑中:お二人ともカメラによって撮り方が変わってきたのですね。
私の場合は、撮り方はあまり変わっていませんが行動には変化がありました。SNSで綺麗な場所を見つけて「ここに行って撮りたい」と思い、出かけることが増えました。カメラを始めてから写真仲間ができたり、写真祭のボランティアに参加したりと、人との出会いも増えました。
カメラは自分をいろいろな場所に連れて行ってくれる存在です。

「カメラがいろんな場所に連れて行ってくれる存在」って素敵ですね。豊田さん、中岡さんにとってはどんな存在でしょうか。

豊田:私にとってカメラや写真は、目の前で起きた出来事や自分の記憶を記録できるものです。
人との関わりや思い出を残していくことに価値を感じています。

中岡:自分にとってカメラは、自分が見たものを鮮明に残せるものです。京都旅行で思うような写真が撮れなかったことがあり、その後悔をなくしたいという気持ちがカメラと向き合うきっかけになりました。
カメラは人生を豊かにしてくれる手段だと思っています。

最後に、「自分×自分のカメラだからこそ撮れた一枚」を見せていただけますか。

豊田:私は、大阪の夜の飲み屋街で撮影した一枚です。
酔いながらその街の人たちと会話を交わし、仲良くなった人たちを記録した写真です。酔っ払いの朧げな焦点のように少しぼやけたピントや、人と人との関わり方を一枚で語れるような雰囲気があって、その当時の空気感や喧騒を切り取った写真だと思っています。
まさに自分の目の代わりとなって、自分の体験や記憶、人との関わりをそのまま記録できた一枚だと思っています。

(撮影機材:カメラ:ライカ M10-P/レンズ:ライカ ズミルックスM f1.4/50mm)

中岡:豊田さんの写真からその場の空気感がすごく伝わってきますよね。
私が選んだのは、福岡の夫婦岩付近で撮影した写真です。
ちょうど寒くなってきて帰ろうとしたタイミングで、奥の島に夕日が少しかかり、とても幻想的な風景でした。社会人になると、限られた時間の中で撮影することが多くなるので、こういう瞬間出会うことはなかなかありません。
このカメラは、実際に目で見たときに近い色味を再現してくれます。スペックは控えめな印象ですが、解像感や色味がちょうどよく描写されるので重宝しています。風景を見て感動した瞬間を、そのまま残したいという自分のスタイルが表れている写真だと思います。

(撮影機材:カメラ:オリンパス OM-D EM-1/レンズ:LUMIX G 25mm F1.7 ASPH)

畑中:私は、渋谷の専門学校に3年間通っていたときに撮影した写真を選びました。
一枚は渋谷の夜の街の写真で、もう一枚はスタジオで撮影した自分のカメラの写真です。
夜の街の写真は卒展に向けて3年間撮りためたもので、カメラの写真は、学校の友人たちと試行錯誤しながら撮影したものです。どちらもシャッターを切った瞬間のいろいろな思い出が詰まっています。
キヤノン EOS R6 MarkⅡは、作品撮りからスタジオでのテザー撮影まで幅広く対応できるオールラウンダーなところも魅力です。スポーツ、ポートレート、乗り物、風景、動物などさまざまな被写体を撮影してきましたが、このカメラでは撮れないと感じたことは一度もありませんでした。
そうやっていろいろな被写体を撮ってみること自体が、自分らしさなのかもしれないですね。

(撮影機材:カメラ:キヤノン EOS R6 MarkⅡ
レンズ:RF24-105 F4L IS USM(夜の写真)/EF100 F2.8L MACRO IS USM(カメラの写真))


それぞれのカメラの選び方を聞いていると、機材との向き合い方も人それぞれだと感じます。
高性能なカメラを使い込む人もいれば、気軽に持ち歩ける一台を選ぶ人もいる。

けれど共通していたのは、カメラが思い出やその瞬間を残すための手段だということでした。

機材は違っても、その先にあるのは同じ。
大切な瞬間を、自分なりの形で残していくことが、カメラの一番の魅力なのかもしれません。

「【U-30界隈 写真のホンネ】機材編」は完結です。次回もお楽しみに!

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